高血圧はなぜこわい?

多少血圧が高くてもなにも不快感を感じない人もいます。
しかし、高い血圧は徐々に脳、腎臓、心臓、などの血管に悪い影響を与え脳出血、脳梗塞などの脳の病気、狭心症、心筋梗塞などの心臓の病気、 腎不全、尿毒症などの腎臓の病気という命にかかわる病気の原因となります。
日頃から塩分をひかえた食事に気をくばり、過労を避け、減酒減煙、寒冷の予防、減量なども心がけましょう。

血圧について、漢方の考え方

漢方の発展してきた時代には血圧計はありませんでした。
ですから、私たちは漢方処方を選定するとき、高血圧を正常血圧にする処方を選ぶことを目標にできません。
古人が、いわゆる脳卒中(脳出血・脳梗塞)を起こしやすい人を治療するには、どのような薬草の組み合わせを使っていたのか、 現代で言う動脈硬化症をともなういろいろな症状を改善するのにどのようにしていたのか、を知り応用します。
血圧を安定させ、高血圧にともなって引き起こされる病状を改善することを目標に東洋医学独特の考え方( 気・血・水 の調整)を応用し体質の変化、 本人の病状の訴えなどを十分考慮して薬草の種類を選び処方をきめます。
漢方薬は血圧を直接強く下げるというより、からだ全体のバランスのくずれや体質を改善することによって、血圧を徐々に下げ安定させます。

こんな症状のある方ご相談ください。

1

特に気分は悪くないが、最近、血圧が高い。血行が悪く、手足も冷え、
ときどき肩こり、耳鳴り、頭が重い、目が疲れるなどの症状もある。

2

首のうしろから後頭部にかけ頭が痛い。特に朝、調子が悪い。
耳鳴りというよりもむしろ頭鳴りという感じがする。
めまい。肩こり。のぼせ。深く眠れない。目が充血する。イライラする。

3

生理不順があったり、更年期の時期以来血圧が高い。
のぼせやすく、ストーブの入った部屋などにいると顔が赤くなってしまう。
手足が冷える。打ち身の痕がつきやすい。便秘しやすい。
足の血管が浮き出てみえる。

4

血圧が変動する。イライラしやすい。夜深く眠れない。
胸がドキドキして、夜床に入ると特に苦になる。息苦しいこともある。
最近物音に敏感になった。精神的にも何か不安で落ちつかない。
血圧を測ろうとすると緊張する。

5

最近、言葉がしゃべりにくい事がある。以前に比べて物忘れが多い。
急に走ったりすると胸が苦しい。血液検査でコレステロールや中性脂肪が多い。
血色が悪く、手の甲、手首など知らないうちに内出血していることがある。

よく使用される基本処方

柴胡加竜骨牡蛎湯・七物降下湯・釣藤散・大柴胡湯・桃核承気湯・冠心Ⅱ号方など

療法

高血圧とは 最高血圧:140mHg以上、または最低血圧:90mHg以上
いずれか一方、または両方がこの値より高いものをいう。
(1999年 WHO/ISH)

  最高血圧 最低血圧
軽症高血圧 140mHg~159mHg 90mHg~99mHg
中等症高血圧 160mHg~179mHg 100mHg~109mHg
重症高血圧 180mHg以上 110mHg以上

高血圧を起こすタイプには、他の病気が原因となる二次性高血圧と、はっきりした病気がなく血圧だけが高い本態性高血圧とがあります。
二次性高血圧の原因となる病気には腎性高血圧(糸球体腎炎、腎孟腎炎、妊娠中毒後遺症、腎血行障害など)脈なし病、膠原病などがあります。
二次性高血圧の方はその原因となる病気の養生法と下記の養生法を守りましょう。
本態性高血圧の方は下記の養生法を守りましょう。
高血圧症は年令、体質に関係することが多く、急激な血圧降下は頭重、だるさ、めまいなどの不快な症状を引き起こすことがあります。
血圧の高い方は最高血圧140以下を目安に養生を気をつけましょう。

食事療法
  1. うす味に心がけましょう。
    (塩分は高血圧、動脈硬化を引き起こす原因となります。)
    加工食品は、できるだけさける。漬物は食べない。
    汁物はできるだけのまない。
    外食は控え目に、関西風の食事を学ぶ。
  2. 野菜、魚貝類、海草類をなるべく多く取ること。
  3. 食べ過ぎに気をつける。(肥満は高血圧の大敵です)
    詳しくは肥満ぎみの方の養生法を参照して下さい。
  4. アルコール・タバコはなるべく減らしましょう。
    (アルコールはその量に比例して血圧を上げるといわれます。タバコは血管を収縮させ、血圧を上昇させます。)
運動療法
  1. 1日合計1時間以上歩くように努めましょう。
    急激な運動などを避け、荷物は持たずに歩くことを心掛けましょう。
    買い物はこまめに歩いていく。水泳、山歩きなどのように気分転換にもなり、適度な運動にもなることを生活の中に組み入れましょう。

予防と養生

  1. 睡眠時間は十分とる。
    (1日7時間以上はとるようにしましょう。)
  2. 心身の過労をさける。
    (過労は急激な血圧の上衝をまねき危険です。風邪、アルコールの飲みすぎも過労の原因となります.)
  3. 寒冷の予防に心がける。
    (防寒用具は必ず身につけましょう。)
  4. ストレスの解消(趣味を持つ、軽いスポーツを楽しむなど)に心がける。

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